歌劇「ラオールの王」(3)


前のページ

第二場より

第四幕一場、二場より
第一場
ラオールの王宮内の部屋でシータは先王アリムの死を嘆いています。
シータ
私の心から残酷すぎる夜の不幸な記憶を取り除きましょう。再び夢が見たいのです。愛に対する信頼を取り戻したいのです。温和な希望よ、もう一度来て!心が愛情で再び脈打つのを感じたいのです。
悲しい!アリム様は亡くなられてしまった!それに私は世の中で最も孤独なのです。不幸な囚われの身なのです。
最愛の人よ、どうか天から降りて来てください!私を脅かす運命から私を守って下さる為に!
私を見捨てないで下さいませ!私は再び貴方様の唇の感触を長い間思い出していたのです。
戻って来て下さい!どうかお戻り下さいませ!私に貴方様の愛をお戻し下さいませ!
あぁ、どうか天から降りてきて下さいませ!
あぁ、汝の審判を恐れる私の悲しみに対してせめて哀れみを!私は汝に哀願しております!どうか私に哀れみを!私に愛をお戻し下さい!どうか過去の愛をお与え下さいませ!
(遠くからファンファーレの音が聞えます)

あぁ、何て残酷な雰囲気のある音なのでしょう!私の心は恐れで震えています。
あぁ、偉大な神よ、私に哀れみを!私が死ぬ事を認めて下さいませ!
王は自分の宮殿に私を呼び出しました。もう死ぬでしょう!シータは王妃に成りたくありません!私の新郎は天で私を待って下さっているのです。
インドゥラ、どうか私の祈願をお聞き届け下さいませ!私は王妃にされてしまうかも知れないのです。しかしシータは王妃には成りたくありません!
私の願いを汝まで届かせて下さいませ!
あぁ、偉大な神よ!私の運命は残酷です!どうか死をお認め下さいませ!

第二場
大きな広場の階段の所で神インドゥラの計らいで生き返った先王アリムが眠っています。
天からの声
この者はこの者自身でしょう。だがそうでは無いかも知れない!肉体は死んでいるが、再び地上を歩く事になるでしょう!再び生きて、愛するものとし、苦しむものとなるのです。

アリム
声、それは来世の言葉の恍惚と共に私を満たす。声、それは天から私の無我夢中の心にまで話し掛けて来る。あぁ、私は遂に神の約束を理解した!再び自分の宮殿を見られる!私は生きているのだ!全てが元通りになるのだ!私の宮殿!・・・私は一体何を言ってるのだ?

士官の集団が宮殿から出てきたのをアリムは黙って見ています。
士官
俺達の王様は夜通し寺院で信心深く徹夜でお祈りをされているぞ。戴冠式の華麗さを称える都市全部に王様は歓呼しに戻られるんだぜ!
アリム
あぁ、反逆者め!
士官
王様を歓迎しに行こうぜ!

士官達は立ち去ります。
アリム
私以上に畏敬を得たあの男が私の宮殿の主となったのだ!人々は皆あの横領者を賞賛している!だが、彼女は・・・
あぁ、私の愛しいシータ!アリムはもう王ではない。君の主人である彼はもう死んだのだ!
誰が死んだ王の墓を閉じるべきなのか・・・?
君の恋人だけが戻るのだ。シータ、それは私だ!君を再び勝ち取る為に戻って来たのだ!君の恋人なのだ!私は戻って来た!
あの時の夜、私にとっては致命的な夜だ、自分が無力な為に義務を捨てた時だ。私が死んだ時の夜、青白く動揺して私の血に君の涙が混ざった時の様に再び君に会うのだ!あぁ、残酷な絶望感が・・・。その後で君の愛しい声は永遠の愛の告白を内気な声で囁いたのだ。広々とした星空の下で私は絶望の中で死んだ!だが希望の為に今私は再び生きている!
もっと輝いて日々は私の高められた愛の為に始まったのだ!(中略)

アリムは王宮へ突入するかの様に入っていきます。入れ替わって、人々が王の行列を見る為に広場へなだれ込みます。聖職者、尼僧、兵士、ダンサー、神の像を運ぶ人、王の護衛、そして最期に新王シンディアがやって来ます。
全員
地球上の王の中の王様、我々は全て貴方様の王位宣言にあたり、敬意を表する物です。神様、地球上の王の中の王様は神様です!
シンディア
王の都市、ラオールを脅し取ろうとしてたトルコ皇帝どもは、まだ我々の力を気にしとるぞ!目に見えん手が奴らを操っとるみたいに奴らは砂漠の方へ撤退した!
もう安心出来るぞぉ!それは諸君が賞賛しとる俺の名前じゃ!今は心が落ち着いとる。それに喜びがある・・・。シータや!!!
あいつは将来の至福、俺の見込み、俺の生活の甘い夢、俺から奪われた・・・美しいもんや!お前は俺のもんや!来てくれ〜、シータ!俺の魅惑された心を癒してくれよ!なぁ、来てくれ!
明るい世界を全部歓迎するもんを示さなあかん!俺の魅惑された心を満たしてくれよ〜!シータ、来いよー!俺は待ち続けるでぇー!お前を愛しとるんやからなぁ。
それにお前の為の王冠があるんやぞ。俺はお前を待ってるんや!お前が好きやからな。シータ、お前は王妃やぞー!あぁ、来てくれ〜!明るい世界を全部歓迎するもんを示さなあかんのや!
なぁ、シータ、来てくれ!俺の生活での甘い夢を満たしてくれー!
なぁ、シータ、来てくれー!
頼むから来てくれー!

シンディアは宮殿の方へ向かいます。すると、その時に生き返った先王アリムがシンディアを見つけ、新王シンディアと先王アリムは戸口の所で鉢合わせをします。
群集は死んだ筈の先王アリムを見て驚き、行列は止まります。
第二場より
アリム
シンディア!!!
シンディア
オワッ、神の復讐か・・・?!
全員
不思議な光景だ・・・。不可解だ。この方はアリム様の顔つき、表情、しかもあのお方の声も持っておられる。。。
シンディア
どえらい光景や・・・。確かにこの俺はこいつを打ちのめしたけど・・・。それに先王が死ぬのを見とったしなぁ・・・。
(中略)地球が復讐する化物みたいにこの俺の前に奴を出現させる事か?まるで復讐する化物みたいに・・・この俺の前にこいつを出現させたんやろか・・・!
全員
それは化物なのか?それとも地球が我々の元に戻したのか・・・我々の最後の王が生きておられるのか?不思議だ、不可解だ!この光景は奇妙そのものだ!それにこの方の表情、それに声が・・・。
アリム
シンディア、私の存在はお前に警告を発するのは当然の事だ!私は、もうこの世にいない人間の名の元に話す。
お前は裏切って彼の王座と力を奪い取った!
シンディア
奴の表情が・・・。不思議や!全く理解できん!不気味な光景や!!!
ティムール
あのお方の声・・・表情・・・!
シンディア
うわー、不思議な光景!

アリム
彼はお前の犯罪と侮辱行為を許す!だが彼は戻るのだ!彼が最も愛しているシータへの愛情を要求する!
シンディア
シータやとーーー!!!
ティムール
この方は・・・また何と大胆な事を言われる事か。
シンディア
詐称者を捕らえんかい!!!
アリム
私は死を無視するのだ!
シンディア
こいつを捕らえろやぁー!!!

兵士達もアリムの荘厳な振る舞いに怯んでしまいます。
アリム
お前達の中の誰かくらいは私を認識出来ぬか。私はアリムだ!お前達の王だ!
全員
アリム様・・・?!
兵士&人々
我等の王だとは・・・!こいつのものは狂気そのものだー!
聖職者達
このお方は神なのです!
シンディア&兵士達
えぇ、神かぁ〜?こいつがぁ・・・?
聖職者達
誰かがこの方に霊感を授けたのです!
シンディア&兵士達
ふん、誰かがこいつに霊感でも与えたんかい!
(中略)
シンディア
奴を捕らえてまえ!!!どうせ、こいつは死ぬんや!
ティムール
いけませぬ!神がこのお方に力をお与えになっているのですぞ!天がこの方を照らしているのです!
シンディア
ふん、俺はお前を支配するんじゃぁ!アホが。
ティムール&アリム
神の精神はこの方(私)を照らしている!
シンディア
従わんかい、こらぁ!こいつはどうせ死ぬんじゃ!アホが!
(中略)
聖職者達
このお方は神の力を授かってらっしゃるのです!
ティムール
このお方に会うのです!
(中略)
全員
このお方のお慈悲をお持ち下さい!
アリム
神が私に力を与えて下さっているのだ!

シンディア
神がこいつに力を与えてくれてるんやったら、こいつを保護するなと、どないぞして天に照らさせてくれよぉ!
ティムール
強力な力を持たれた神々だ!

アリム
シンディア!強力なお力を持たれた神々が話された事だS!従え!神々が話された事だ!
シンディア
俺はもう宣告しとるんやぞ!こら!お前を支配するんじゃ!慈悲なんかあるかい!絶対に無いぞー!
ティムール&聖職者達

強力なお力をお持ちになられた神々がこの方をこの世に送って来られたのです!どうかシンディア様がお慈悲をお持ちになられます様に!どうかお慈悲をお持ち下さい!
ティムール(シンディアに対して)
王様、この方は神が遺言として残された事を貴方様にお伝えになられたのですぞ!この方はシータを要求されていらっしゃるのです!神が我々の様になる事として彼女を要求されているのです!

シータを乗せた肩籠が女性の護衛官と共に現れ、シンディアは軽蔑的な笑みを浮かべてティムールに話し掛けます。
兵士達
王妃様がいらっしゃいます!
シンディア
王妃か・・・!
アリム
シータ!・・・王妃だとは!・・・不誠実だ!
ティムール(アリムに対して)
さぁ、こちらへ、貴方様を安全な所へお連れ致しますから・・・。
アリム
あぁ、私は再び彼女に会うのだ!

アリムはシータの元へ急ごうとしますが、側にいる護衛官達が彼を捕らえようとします。しかし、ティムールや聖職者達がアリムを守ります。
兵士、人々(シンディアに敬意を払い)
王の中の王様!我等は貴方様への栄光を誓います!

次のページ



「ラオールの王」Story
「ラオールの王」CD鑑賞感想文
「超ネタバレ歌詞抜粋公開 INDEX」

オペラのコーナーINDEX

初めての方へ(全画面表示) インフォメーション 映画 おしゃべりコーナー オペラ化したら面白そうな
話題の映画投票結果
「スター・ウォーズ」と
ルイス・リマの魅力
Blog集 掲示板 リンク集 サイトマップ